平成30年度から適用される主な市・県民税の税制改正等についてお知らせします。
① セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の創設
平成28年度税制改正により、平成30年度から平成34年度までの各年度分において、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている個人が、前年中に支払った「スイッチOTC医薬品(特定一般用医薬品等)」の購入費が1万2千円を超える場合には、1万2千円を超える額(控除限度額8万8千円)を所得控除できる特例が創設されました。 (※従来の医療費控除との選択適用となります。)
健康の維持増進及び疾病の予防への取組(一定の取組)とは
下記の1から5のいずれか1つに該当する検診等又は予防接種のことをいいます。
1. 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
2. 予防接種
3. 定期健康診断(事業主健診)
4. 健康診査(いわゆる人間ドック等で医療保険者が行うもの)
5. がん検診
「スイッチOTC医薬品」とは
医師の処方が必要だった医療用医薬品から転用された市販の医薬品のことです。
詳しくは厚生労働省のホームページの対象品目一覧(外部リンク)をご参照ください。
控除を受けるための方法
当該年の1月1日から12月31日までの支払金額を集計した「セルフメディケーション税制の明細書」を作成し、一定の取組を行ったことがわかる書類(結果通知の写し等)とともに確定申告又は市・県民税申告の際に提出してください。
控除額
(支払金額-保険金等により補填される金額)-12,000円 (※控除限度額は88,000円)
※検診等又は予防接種に要した費用は、セルフメディケーション税制の控除対象にはなりません。
② 医療費控除に係る付属書類の見直し
平成29年度税制改正により、平成30年度以降の医療費控除の申告の際には、医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の添付又は提示に代えて、「医療費控除の明細書」又は「セルフメディケーション税制の明細書」を申告書に添付しなければならないこととされました。また、この場合おいて、法定納期限から5年間、市長が医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の提示又は提出を求めたときは、これに応じなければならないこととされました。
経過措置
平成30年度から平成32年度までの市・県民税の申告については、医療費等の領収書の添付又は提示によることが出来ます。
(平成29年分から平成31年分までの所得税の確定申告については、医療費等の領収書の添付又は提示によることが出来ます。)
医療費通知の活用
医療保険者から交付を受けた医療費通知(原本)を添付することで、通知に記載されている分の医療費については明細の記載を省略することが出来ます。医療費通知とは、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」等です。
明細書の様式
下記の国税庁ホームページよりダウンロードが可能です。市・県民税の申告の際にも準用してください。
補記
Ⅰ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し【平成31年度分より適用】
平成29年度税制改正により、就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から、控除対象配偶者の定義を改め、現行の「控除対象配偶者」に該当するものは、「同一生計配偶者」と名称を変更することなどとし、平成31年度以後の各年度分の配偶者控除及び配偶者特別控除について下記の変更が行われることとなりました。
納税義務者の合計所得が1,000万円を超える場合は配偶者控除の適用が廃止されます。
「同一生計配偶者」 … 納税義務者の配偶者で納税義務者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が38万円以下である者。
「控除対象配偶者」 … 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である納税義務者の配偶者。
納税義務者の合計所得金額 | 市・県民税の控除額 | |
控除対象配偶者 | 制限なし | 33万円 |
老人控除対象配偶者 | 38万円 |
納税義務者の合計所得金額 | 市・県民税の控除額 | |
控除対象配偶者 | 900万円以下 | 33万円 |
900万円超950万円以下 | 22万円 | |
950万円超1,000万円以下 | 11万円 | |
老人控除対象配偶者 | 900万円以下 | 38万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 |
市・県民税の控除額 | ||
配偶者の合計所得金額 |
納税義務者の合計所得金額1,000万円以下 |
納税義務者の合計所得金額1,000万円超 |
38万円超45万円未満 | 33万円 | 控除適用なし |
45万円以上50万円未満 | 31万円 | |
50万円以上55万円未満 | 26万円 | |
55万円以上60万円未満 | 21万円 | |
60万円以上65万円未満 | 16万円 | |
65万円以上70万円未満 | 11万円 | |
70万円以上75万円未満 | 6万円 | |
75万円以上76万円未満 | 3万円 |
市・県民税の控除額 | ||||
配偶者の合計所得金額 |
納税義務者の合計所得金額 900万円以下 |
納税義務者の合計所得金額 900万円超950万円以下 |
納税義務者の合計所得金額 950万円超1,000万円以下 |
納税義務者の合計所得金額 1,000万円超 |
38万円超90万円以下 | 33万円 | 22万円 | 11万円 | 控除適用なし |
90万円超95万円以下 | 31万円 | 21万円 | ||
95万円超100万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
100万円超105万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
105万円超110万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
110万円超115万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
115万円超120万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
120万円超123万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
Ⅱ 特定上場株式等に係る所得の所得税と市・県民税での異なる課税方式の選択について
平成29年度税制改正により、特定上場株式等の配当所得や上場株式等の譲渡所得(源泉徴収がある特定口座)に係る所得については、所得税と異なる課税方式により市・県民税を課税できることが明確化されました。
具体的には、特定上場株式等の配当所得等を含めた所得税の確定申告書が提出されている場合であっても、その後に市・県民税の申告で記載された事項をもとに課税できることが明確化されました。
市・県民税において所得税と異なる課税方式を選択するための要件
納税通知書が送達される日までに、確定申告書とは別に、市・県民税の申告書を提出することにより、所得税と異なる課税方式(申告不要制度、総合課税、申告分離課税)を選択することが出来ます。