平成28年度から適用される主な市・県民税の税制改正についてお知らせします。
1.市・県民税における公的年金からの特別徴収制度の見直し
仮特別徴収税額の算定方法の見直し(仮特別徴収税額の平準化)
平成25年度税制改正において、年間の徴収税額の平準化を目的に、仮特別徴収税額(仮徴収税額)を「前年度分の公的年金等に係る所得割額と均等割額の合算額(年税額)の2分の1に相当する額とする」こととされました。
この改正は、平成28年10月1日以後に実施する特別徴収から適用されます。
※本改正は、仮徴収税額の算定方法を見直すものであり、年税額に影響はありません。
仮徴収税額 | 本徴収税額 | |||||
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4月 | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 | 翌年2月 | |
改正前 (現行) |
前年度分の本徴収税額÷3(前年2月と同額) | (年税額-仮徴収額)÷3 | ||||
改正後 | (前年度分の年税額÷2)÷3 | (年税額-仮徴収額)÷3 |
普通徴収 | 年金特徴 | |||||
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- | 6月 | 9月 | 10月 | 12月 | 翌年2月 | |
税額 | 年税額の4分の1ずつ | 年税額の6分の1ずつ |
転出・税額変更があった場合の特別徴収継続の見直し
現行制度では賦課期日(1月1日)後に市町村の区域外に転出した場合や、特別徴収する税額が変更された場合、公的年金からの特別徴収は停止(中止)され、普通徴収(納税通知書で納めていただく方法)に切り替わることとされています。
平成25年度税制改正において、年金所得者の納税の便宜や市町村における徴収事務の効率化の観点から、「転出や税額変更があった場合においても一定の要件の下、特別徴収を継続する」こととされました。
この改正は、平成28年10月1日以後に実施する特別徴収から適用されます。
税額の変更があった場合の特別徴収の継続
市町村長が年金保険者(日本年金機構等)に対して、公的年金から特別徴収する税額を通知(例年7月初旬)した後に特別徴収税額を変更する場合、12月分と2月分の本徴収に限り、変更後の特別徴収税額によって継続することとなります。
2.公的年金等に係る所得税の確定申告不要制度の改正
平成26年度税制改正において、公的年金等に係る所得税の確定申告不要制度については、「源泉徴収の対象とならない公的年金等(外国で支払われる年金)の支給を受ける者は、この制度を適用できない」こととされました。
この改正は、平成27年分以後の所得税について適用されます。
公的年金等に係る所得税の確定申告不要制度とは
平成23年分以後、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には所得税の確定申告の必要はありません。
ただし、医療費控除等による所得税の還付を受けるための確定申告をすることはできます。
確定申告不要の方でも、次に該当する場合は住民税の申告をしてください
前述による「所得税の確定申告」は不要の方でも、次の1から4に該当する場合、住民税の申告が必要です。
- 公的年金以外の所得がある
- 公的年金等の源泉徴収票(公的年金等支払報告書と同じ)に記載された人的控除(障がい者控除、特別寡婦、寡婦・寡夫控除、配偶者控除、扶養控除)の追加、訂正がある(16歳未満の扶養親族も含む)。
- 源泉徴収票(公的年金等支払報告書)の社会保険料(公的年金から引き落としされた介護保険料等)以外に支払った国民健康保険料、後期高齢者医療保険料などの社会保険料を追加する。
※生計を一にする配偶者、その他の親族が受け取る年金から引き落としされている国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料は申告者の控除対象にはなりません。 - 雑損控除・医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除の適用を受ける他、寄附金税額控除の適用を受ける。
3.「ふるさと納税」に係る改正
平成25年度税制改正及び平成27年度税制改正で平成27年中に支出した都道府県、市区町村(地方公共団体)に対して寄附(ふるさと納税)をした場合、平成28年度から適用される個人住民税について次のとおり改正されました。
所得税の最高税率引上げに伴う「ふるさと寄附金」に係る特例控除額の算定方法の改正
平成27年分以後の所得税の最高税率が40%から45%に引上げられたことに伴い、平成28年度以後の寄附金税額控除(ふるさと納税)に係る特例控除額の計算方法は次のとおりとなります。
課税年度 | ふるさと納税に係る特例控除額の計算方法 | |
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改正前 (現行) |
平成26年度から平成27年度 | (寄附金額-2,000円)×(90%-(所得税の適用税率:0から40%)×1.021) |
改正後 | 平成28年度以降 | (寄付金額-2,000円)×(90%-(所得税の適用税率:0から45%)×1.021) |
特例控除額の拡充(特例控除限度額の引上げ)
平成27年度税制改正において、「ふるさと納税」に係る寄附金税額控除については、基本控除に加算される特例控除額の上限を個人住民税の所得割額(調整控除後の所得割額)の10%から20%に拡充することとされました。
この改正は、平成27年1月1日以後に支出する「ふるさと寄附金」、平成28年度以後の個人住民税から適用されます。
課税年度 | 特例控除額の上限 | |
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改正前 (現行) |
平成21年度から平成27年度 | 所得割額の10% |
改正後 | 平成28年度以降 | 所得割額の20% |
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の創設(平成27年4月1日以後に行う寄附から適用)
平成27年度税制改正において、確定申告の不要な給与所得者等が、自分の生まれ故郷や応援したい都道府県・市区町村に対し寄附(ふるさと納税)をした場合、所得税の確定申告を行わなくても、所得税・個人住民税の寄附金控除を受けられる仕組み「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されました。
※平成27年4月1日以後に行う「ふるさと納税」で、寄附先の団体数が5団体以内の場合で確定申告(住民税申告を含む)を行わない場合に限ります。
ワンストップ特例の対象者
次の(1)、(2)の条件を満たす場合に限ります。
条件(1) 地方税法附則第7条第1項(第8項)に規定する申告特例対象者であること
- ふるさと納税に係る寄附金控除を受ける目的以外で「所得税の確定申告」や「住民税の申告」をする必要がないかた
※ワンストップ特例制度の対象とならない主な該当事例
- 確定申告を行う必要がある事業所得(営業、農業、不動産)がある
- 給与所得者であっても、年末調整を受けていない(給与収入2,000万円以上ある又は年の途中で退職・就職した)
- 給与所得者で給与以外の所得(不動産所得、配当所得、一時所得、土地・建物・株式等資産の譲渡所得など)がある
- 2ヶ所以上から給与の支払を受けている給与所得者
- 公的年金等所得者で確定申告または住民税の申告を必要とするかた
- 医療費控除などの各種所得控除や住宅ローン控除の適用を受けるため確定申告をする など
(所得税で控除しきれなかった住宅ローン控除可能額を有し、住民税から住宅ローン控除の適用を受ける場合も含む)
上記に該当するかたは「ワンストップ特例制度」は適用されませんので、これまでと同様、所得税の確定申告で寄附金控除を受けてください。
条件(2) 地方税法附則第7条第2項(第9項)に規定する該当者であること
- その年(1月1日から12月31日)に「ふるさと納税」に係る寄附をした自治体の数が5団体以下である方
(注意事項)
- 平成27年4月1日以後に行う「ふるさと納税」が対象です。
- 平成27年1月1日から平成27年3月31日までに寄附した法施行日前の「ふるさと納税」は、「ワンストップ特例制度」の対象外となります。寄附金控除を受けるためには、平成27年4月以降の「ふるさと納税」も含めて全ての寄附金を確定申告する必要があります。
- 「ふるさと納税」をされた自治体の数が5団体を超える場合、「ワンストップ申告特例申請」はなかったものとみなされます。確定申告を行ってください。
- 所得税の控除対象となる寄附金をされた場合、確定申告が必要となります。確定申告をした場合には「ワンストップ申告特例申請」はなかったものとみなされ、ワンストップ特例は受けられません。全ての寄附金について確定申告を行ってください。
ワンストップ申告特例申請の手続き等
申告特例の申請(5団体以内に限る)
寄附先団体に「寄附金税額控除等に係る申告特例申請書」(省令様式第55号の5)(PDF 233KB)による申請が必要です。
詳細は寄附を行う団体にご確認ください。
なお、同じ団体に複数回寄附をした場合は、寄附するごとに申請が必要になります。
住所や氏名に変更が生じた場合の届出
申告特例申請書(省令様式第55号の5)に記載した事項(住所・氏名等)に変更があった場合、寄附をした翌年1月10日までに「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」(省令様式第55号の6)(PDF 223KB)を寄附先団体に提出する必要があります。詳細は寄附を行った団体にご確認ください。
ワンストップ申告特例申請が無効(なかったものとみなす)となる場合
- 所得税の確定申告を行った場合(賦課決定後の期限後申告を含む)
- 個人住民税の申告を行った場合(賦課決定後の期限後申告を含む)
- 「ふるさと納税」をされた自治体の数が5を超えた場合
- 申告特例申告書(変更届出書含む)の住所等が相違し、賦課期日(1月1日)に課税権を有する自治体に申告特例通知書が1月11日から1月31日までに送付されないなど
ワンストップ特例が無効により、特例が受けられなくなった場合の手続き
- 所得税の寄附金控除と住民税の寄附金税額控除の適用を受けるには、領収書または寄附金受領証明書を添付し改めて所得税の確定申告(修正申告・更正の請求を含む)が必要になります。
- 公的年金等の収入が400万円以下であり、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下で、確定申告が不要とされている者が住民税申告を行う場合においても、領収書または寄附金受領証明書を添付し控除の適用を受けることができます。ただし、住民税の寄附金税額控除(基本控除・特例控除)だけとなります。
ワンストップ特例制度による控除額
ワンストップ特例制度の適用を受ける場合、所得税からの控除(還付)は発生せず、翌年度の個人住民税所得割額から、住民税の控除額(基本控除額+特例控除額)と所得税の控除相当額を「申告特例控除額」として税額控除されます。実際には寄附を行った翌年の6月以降の個人住民税が軽減されます。